オイルダンパー反力を考慮して架構の設計をするには?

オイルダンパーなど速度依存型のダンパーを用いた設計を行う場合には、ダンパーから架構が受ける反力を適切に考慮する必要があります。

しかしながら、速度依存型のダンパーは速度の概念が存在しない静的解析では力を負担できません。 そのため、反力を適切に考慮するには以下の3つの方法が考えられます。

  1. 検定時応力にダンパー反力を加算して検定する
  2. 等価な静的剛性を持つ要素に置換する
  3. 想定されるダンパー反力を外力として作用させる
 
1,2,3の方法は、それぞれ以下のような手間がかかってしまいます。
1は、検定を計算プログラム外で行う必要があります。
2は、速度依存ダンパーを入力したモデルと別にモデルを作成する必要があります。また、等価な静的モデルの設定を考える必要があることや、外力に対して架構負担分のせん断力とダンパー負担分のせん断力が想定どおりとなるように設計用せん断力を設定しなくてはなりません。
3は、反力を応力計算用の外力として、ダンパーの角度など考慮しながら適切に入力する必要があります。また、圧縮側か引張側かも意識しながら、外力の向きを設定する必要があります。

いずれも一手間かかってしまう検討ですが、この度RESP-Dに3の検討を支援する機能を追加しました。
応力計算条件で、「ダンパー反力を節点荷重として考慮する」にチェックを入れて、各ダンパーに設計用反力を指定することで反力を自動的に考慮できます。
ダンパー反力の向きは、事前に水平荷重時解析を行い、引張となるか圧縮となるか判断して自動的に考慮する仕様となっています。 これにより、ダンパーの角度や反力の正負などを意識することなく、自動的にプログラム内で設定する事ができます。

     


計算例

以下のモデルで確認を行います。
ダンパー反力は50kNを想定します。実務上は、ダンパーの最大荷重で決めるということが考えられます。
比較として、ダンパー反力を考慮しない場合と、50kNで剛性低下してバイリニアとなる鉄骨ブレースを配置した場合を示します。


鉄骨ブレースを配置するケースは、ブレースの弾塑性を考慮する必要があるため、弾塑性解析結果を水平荷重時の結果として使用する設定としています。

まず、ダンパー反力を考慮しない場合(以下、ケース1)の水平荷重時応力解析は以下となります。

ダンパー左右の柱は、変動軸力としてはわずかですが、左が圧縮、右が引張となっています。


ケース1


続いて、鉄骨ブレースを配置した場合(以下、ケース2)、ダンパー反力を外力として考慮した場合(以下、ケース3)を示します。

いずれのケースでも、ダンパー反力によって左柱が引張、右柱が圧縮と傾向が変わっていることが確認できます。 ケース2、ケース3を比較すると、周辺架構の挙動については近い傾向を示していることが確認できます。  


 

ケース2

 

ケース3


鉄骨ブレースに置換したケース2のほうがやや周辺架構の応力を大きく評価しています。
これはブレースの軸力が降伏後も微小な剛性により上昇し、50kNを上回っていることが原因として考えられます。

1階のX2,X3の柱軸力をまとめると、以下の通りです。

  軸力(kN)
左柱(X2) 右柱(X3)
ケース1 +13kN(圧縮) -13kN(引張)
ケース2 -31kN(引張) +56kN(圧縮)
ケース3 -29kN(引張) +50kN(圧縮)
 

なお、前述したとおり、ケース2の方法の場合は外力に対して架構負担分のせん断力とダンパー負担分のせん断力が想定どおりとなるように設計用せん断力調整する必要があるのに対し、本機能を用いればケース3の検討では架構負担分のせん断力のみを設計用せん断力として与えればよいという点で、ケース3のほうが扱いやすい面があります。  

まとめ

ダンパー反力を考慮した周辺架構の設計について解説しました。

これまでダンパーを静的モデルに置き換えて設計されていた方も多いと思いますが、RESP-Dで設計する場合には今回の機能追加によって外力として簡便に考慮できるようになりました。 ユーザーの皆様は、ぜひお試しください。  

今回使用したソフト RESP-D


時刻歴応答解析による設計を支援する統合構造計算プログラム

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