免震部材の付加曲げ計算

RESP-Dでは免震部材の上下大梁に対する付加曲げモーメントを計算し、上下大梁の検定応力に加算する機能があります。付加曲げモーメントにはP-δ、Q-hモーメントがありますが、Q-hモーメントは免震部材の反曲点位置により上下のモーメント分配が変わってきます。これまでRESP-Dではゴム系支承については上下に1/2ずつのモーメント(反曲点位置は中央)を、すべり支承については上面もしくは下面(すべり面の逆側)にすべてのモーメントを分配するような計算をしてきましたが、現実にはフーチングのサイズなどが異なり反曲点位置が中央にならなかったり、すべり面側にも構造芯とフーチングの距離を鑑みた付加曲げを考慮したいというシナリオがありました。その影響を適切に考慮するため、反曲点位置の個別指定機能を実装しました。

設定方法

設定方法は、支承材配置後のプロパティ変更により行うことができます。

 

Q-hによる付加モーメントを断面検定時に後から加算する方法の場合、応力計算条件では「免震装置のモデル化」を「せん断力によって生じるモーメントを負担しない」にしておく必要があります。「負担する」とした場合、応力解析時に付加モーメントが時々刻々考慮されることになるため、断面検定時の加算は行いません。ただし、この場合の反曲点位置は上記指定によらず構造階高/2として計算されることにご注意ください。

 

 

Q-h付加モーメント計算時のせん断力は、免震層設計条件の「免震層層間変位」で設定した変形に対するせん断力を各支承材で算出し、その値を用いて計算します。

 

計算例

以下のような免震部材配置を考えます。NSが天然ゴム系積層ゴム、LSが鉛プラグ入り積層ゴム、SPが弾性すべり支承です。

 

X1通りの天然ゴム系積層ゴムに付加モーメント計算用高さH1,H2を入力しています。

 

 

 

弾性すべり支承にもに付加モーメント計算用高さH1,H2を入力しています。すべり面は下側を想定しているため本指定がなければ下側の大梁については付加モーメントが0となりますが、すべり面側でもすべり面とフーチングの距離に応じて付加モーメントが発生することが考えられるため指定することを想定しています。

計算結果

計算結果を示します。まずは免震層下側層からです。

まずはゴム系支承材を確認します。現在のRESP-Dデータでは構造階高を2.4mとしています。したがって、特に指定がなければH1=H2=2.4/2=1.2mとなります。反曲点の指定は、下側を1.4mとしています。したがって、下側層については反曲点指定をしているほうが付加モーメントが大きくなるということが予想され、実際そのようになっています。

念のため計算内容の確認として数値を追ってみます。

例えばY2通りX1-X2軸の大梁で比較すると、始端のモーメントは反曲点指定あり/反曲点指定なし≒1.17となっています。それぞれの計算用高さの比も1.4/1.2≒1.17となるため、当然のことですが指定が意図通り反映されていることが確認できます。

一方、弾性すべり支承は下側をすべり面としているため、反曲点していなしでは付加モーメントは0となっていますが、ありの方は付加モーメントが考慮できています。

反曲点指定なし(MFL)

 

 

反曲点指定あり(MFL)

 

つづいて免震層上側層です。

ゴム系支承材については、反曲点の指定は上側を1.0mとしているため特に指定しない場合よりも小さい付加モーメントとなることが予想されます。

こちらも念のため追ってみると、Y2通りX1-X2軸の大梁で比較すると、始端のモーメントは反曲点指定あり/反曲点指定なし≒0.83となっています。それぞれの計算用高さの比も1.0/1.2≒0.83となります。

弾性すべり支承については、Y2通りX3軸の節点周りで比較します。反曲点指定なしは節点周りで約49kNmの付加モーメントが生じています。一方、反曲点指定ありでは約40kNmでやや小さくなっています。計算用高さは指定なしの場合は構造階高2.4mとなり、指定ありは2.0mとしています。40/49≒0.82, 2.0/2.4≒0.83 となり、計算用高さの指定により意図通り付加モーメントが変化していることが確認できます。

 

反曲点指定なし(1FL)

 

反曲点指定あり(1FL)

 

まとめ

免震部材による付加曲げ計算をより詳細に設定できるように機能追加を行いました。

ご活用いただけますと幸いです。

 

今回使用したソフト RESP-D


時刻歴応答解析による設計を支援する統合構造計算プログラム

詳細はこちらから

 

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です