付加系とは?

付加系とは、質点系モデルにおいてダンパーを評価する際に、周辺部材による変形を考慮するため疑似的なばねを考慮するモデル化です。

詳細な方法は文献1)をご参照いただきたいと思いますが、文献の方法に従って、状態N、状態R、状態T解析を用いて計算を行いました。

なお、この機能はRESP-Dの今後のバージョンアップで公開されます。

RESP-Dで状態N,R,Tの計算を行う場合、応力計算条件の指定を変更するだけで行えます。

 

応力計算条件の設定

文献1) 石井正人, 笠井和彦 「多層制振構造の時刻歴解析に用いるせん断棒モデルの提案」 日本建築学会構造系論文集 / 75 巻 (2010) 647 号

 

状態N,R,Tとは?

ダンパーに作用する実効変形を表現するための疑似剛性を算出するために作成する3つのモデルを状態N,R,Tと称しています。それぞれ、No-damper, Rigid-damper, Tied-frame の頭文字を取った名称となっています。

たとえば間柱型ダンパーでそれぞれの状態を計算した場合、mofiで計算してみると以下のようになります。

関連記事 : http://resp-blog.kke.co.jp/2019/06/03/mofi/

 

 

 

解析モデル

今回は間柱型ダンパーのモデルを対象とし、履歴型、速度依存型のダンパーでそれぞれ確認しました。

鉄骨造20階建てのモデルとし、間柱型ダンパーを各階2本ずつ配置しています。

 

モデル外観

解析ケース

地震動はEl Centro NSを最大加速度500galとしたケースについて解析しました。

比較のため、立体モデルに加えて履歴型ダンパーでは主架構とダンパー部をそれぞれせん断ばねとしてモデル化する方法(以下、ダンパー分離モデル)、速度依存型ダンパーでは等価曲げせん断型、曲げせん断分離型による結果を載せています。

 

 

ダンパー分離モデル

 

付加系ばねモデル

 

等価曲げせん断型

曲げせん断分離型

 

付加系ばねモデルでは、質点系振動解析条件を以下のように設定しています。

履歴型ダンパーは状態R、速度依存型ダンパーは状態Tを用いて付加ばねの疑似剛性を設定してます。

 

なお、今回対象としている付加系ばねは、主架構が弾性範囲内であることが大前提となります。応答が塑性領域に入る場合は、精度が低下することに留意が必要です

解析結果

①履歴型ダンパー

結果を以下に示します。

履歴型ダンパーの場合はダンパー分離モデルでもおおむね挙動の把握は可能なものの、付加系モデルはさらに精度の高い評価となっていることが確認できました

②速度依存型ダンパー

結果を以下に示します。

付加系モデルは立体に対して非常に精度高くダンパーが評価されていることがわかります。

一方、付加ばねを考慮していない等価曲げせん断型、曲げせん断分離の場合は間柱周辺の梁による回転、支持柱の変形による影響が考慮されていないため、ダンパーの実効変形を過大評価してしまっていることが確認できます

この結果から判断すると、間柱ダンパーのように周辺架構の局所的な変形がダンパーの実効変形に大きく影響する構造による質点系モデル化は、工学的判断によりダンパー性能を低減させて評価する以外は、付加系モデルしかほぼ選択肢がないといえます

 

まとめ

  • 周辺架構がおおむね弾性状態であれば、付加系質点系振動モデルは立体モデルと比較して精度が高い。
  • 状態T解析により疑似付加系ばねを算出すれば、速度依存型のダンパーでも精度高くダンパーの実効変形を評価できる。

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