境界梁ダンパーとは?
境界梁ダンパーとは、2つの壁柱間に接続した梁の変位差を利用したダンパーです。
間柱型、ブレース型、壁型などのダンパーに比べ、プランの制約が少なくて済む特徴があります。
RESP-Dでは直接的に境界梁ダンパーの要素を取り扱ってはいませんが、入力の仕方により解析モデル自体は問題なく構築できます。
本記事では境界梁ダンパーのモデル化手順を示します。
RESP-Dでの入力フロー
手順を示します。
1.軸を追加し、ダンパー位置の梁を配置します。
配置は図に示すように壁と壁の間の梁を3分割し、両端をRC、中央の断面を鉄骨として配置します。
ダンパー部の断面は、剛性が適切に評価できるような断面とします。
2.大梁のせん断非線形考慮の指定を行います。
通常、大梁はせん断破壊を許容しないため弾性としてモデル化しますが、境界梁ダンパーはせん断非線形を考慮する必要があります。そのため、「計算条件」→「部材復元力特性条件」から大梁のせん断非線形を「考慮する」としておきます。
このとき、実際にせん断非線形を考慮したいのは鉄骨の大梁ですが、RCの大梁も含めてせん断非線形考慮となってしまう点にご注意ください。後述する「部材復元力特性・減衰定数直接入力」により別途個別指定で弾性指定することは可能です。
3.ダンパーの耐力を直接入力します。
「部材リスト」→「部材耐力直接入力」から設定できます。
バイリニアにするには、Qy,α3に0を入力する必要があります。
4.ダンパーの復元力特性を設定します。
「部材リスト」→「部材復元力特性・減衰定数直接入力」から設定できます。
ここでは履歴特性は標準型とし、内部粘性減衰は0%として設定します。
以上で設定は完了です。
応答解析結果
応答解析を行って履歴を確認します。
履歴図は、計算実行前に出力したい部材を履歴出力指定しておけば、RESP-Dの画面上のツールバー「履歴図」から確認することができます。
以下のように大梁のせん断において履歴エネルギー吸収している様子が確認できます。
今回使用したソフト RESP-D