ファイバーモデルは実務、研究の両者で広く信頼され使用されているモデル化方法の一つです。
しかしながら、ファイバーモデルと他のモデル化方法(材端剛塑性ばねモデルなど)との違いやファイバーモデルにおける仮定について説明に苦労することがあるのではないでしょうか。

本記事ではファイバーモデルについて、その特徴を整理し、その利点や他の手法との比較を行いたいと思います。

ファイバーモデルの特徴

モデル化の特徴

ファイバーモデルの特徴として、主に以下の3つが挙げられます。
(弊社RESP-F3Tマニュアルを参照)

  • 部材断面は複数の微小断面(以降、セグメントと呼ぶ)に分割されている
  • 部材断面は平面保持仮定が成立していると仮定されている
  • 各セグメントは構成則(応力度-ひずみ関係)を持ち、セグメント間に相互作用は存在しない

下図にボックス鉄骨柱をファイバーモデルでモデル化した例を示しています。

部材全体の応力度-ひずみ関係式(骨格曲線)について

骨格曲線の特徴として大きく2点あげられます。

  • 部材全体の応力変位関係は曲線になる

各セグメントが各々の構成則を持つため、塑性化するタイミングも同じではなく、部材全体の応力変位関係(骨格曲線)は初めから曲線の骨格曲線になります。
より厳密には、計算前に部材全体の骨格曲線は定義されていません。計算途中の応力状態により、全体の骨格曲線は変化します。
(材端剛塑性ばね法では一般的に骨格曲線は3折線となります。材端剛塑性ばね法との違いは本記事下部にまとめております。)

  • せん断剛性は別に設定する必要あり

各セグメントの応力度-ひずみ関係は軸方向のみ定義されるため、せん断応力に関する性能を求めることができません。そのため、ファイバーモデルとは関係なく、梁全体のせん断力特性を定義する必要があります。

ファイバーモデルの利点

ファイバーモデルの主な利点は以下の3点です。

  • 平面保持仮定というシンプルな仮定で、柱の挙動を扱うことができる

ファイバーモデルにおいて適用される仮定はシンプルで、見通しがよいです。(構造力学の理論解からの逸脱か小さく、理論に沿った予想がしやすいと言えます。)

  • 応力状態に応じて部材全体の骨格曲線が変化する

ファイバーモデルでは各セグメントが独立した構成則を持つため、各セグメントの塑性化するタイミングも同じではありません。そのため、応力状態によって部材全体の骨格曲線が変化することになり、軸力変動や二軸曲げによる応力状態を比較的正確に表現できます。

  • 弾性範囲内においては応力状態によらず梁理論による初期剛性とファイバーモデルの初期剛性が一致する

マルチスプリングモデルと異なり、応力状態によらず「微小変形理論における梁理論解の初期剛性」と「ファイバーモデルによる初期剛性」が一致します。(マルチスプリングモデルについては機会があれば記事でご紹介いたします。)

ファイバーモデルを使用する上での注意点

ファイバーモデルの注意点は以下の3点です。

  • コンクリートと鉄筋の付着のようなセグメント間の相互作用を考慮する方法が確立されていない

RC柱において試験結果と比較すると、ファイバーモデルによる解析では降伏時剛性低下率がやや大きめとなる傾向があります。要因としては付着が切れることなどにより実際にはコンクリートと鉄筋の間で平面保持仮定が成立していないことが考えられています。

  • 一般的には塑性率の計算方法が確立されていない。RESPチームでは重み付け平均塑性率を提案しているがオーソライズされているとはいえない

ファイバーモデルでは折れ点が明確に規定されないため、『塑性率基点』を定義することが簡単ではありません。そのためRESPチームでは断面全体の剛性に対する各セグメントの寄与度を評価し、それをもとに塑性率基点を定める『重み付け平均塑性率』を提案しています。

  • 塑性化する領域をどの程度にするかが復元力に大きく影響する

ファイバーモデルでは塑性化領域と弾性領域に分けてモデル化します。(弾性領域を考慮しないこともあります。)この場合、塑性化領域の長さにより剛性低下率が大きく変化するため、塑性化領域の長さは慎重に検討する必要があります。

他のモデル化との違い

材端剛塑性ばねとの違い

材端剛塑性ばねモデルについては過去の技術Topics材端剛塑性ばねモデルって何?をご確認ください。

材端剛塑性モデルとの代表的な違いを下の表にまとめてみました。

材端剛塑性ばねモデル ファイバーモデル
骨格曲線の設定方法 軸力、曲げそれぞれについて予め定義する 各セグメントの構成則から逐次計算される
骨格曲線の形 一般に3折線 曲線
モーメント分布の仮定† 必要 不要
塑性化領域 部材端部に集中する 一定の長さを塑性化領域として定義する方法が一般的(長さは設計者判断)

† 材端剛塑性ばねでは剛塑性ばねを作る際に一般的には逆対称モーメントを仮定した弾性変形をもとにして算出します。実際の応力分布と無関係にモーメント分布を仮定しておく必要がある、という点がファイバーに比べて困るところです。

ファイバーモデルの概要についてご理解いただけましたでしょうか。
今回の記事で十分にご説明できなかった内容(塑性化領域の扱いやマルチスプリングモデルとの違い)については、また記事として投稿したいと思います。
ご意見、ご質問などありましたら、ご遠慮なくお申し付けつけください。

ファイバーモデルの断面解析方法について新しく記事を投稿しました。
ぜひご覧ください。

【構造解析Tips】ファイバーモデル入門~計算理論編~

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